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「安物買いの銭失い」歯科バージョンで失うのは銭だけではなく自分の内臓

タイトル、「安物買いの銭失い」ですが、歯科における安物ってなんでしょうね? 

1.保険診療で安価に治療すること 

2.保険診療で安価に「お掃除」「クリーニング」すること 

3.保険外の治療であっても相場より安いもの 

私はこの3つだと思っています。 

1.2に関しては以前のブログやYouTube(https://youtu.be/1TjevJ9pyRs)で強くお伝えしています。 

今日は3についてお話してみようかと思います。 

値段で決めることのリスク

女性 口腔内

当院の患者さんのお話です(ブログに書いていいとご本人から許可頂いております)。 

流れとしては、 

1.虫歯が発見されて治療を提案された。この時点で自覚症状なし。 

2.歯を削ることはあまり良いことではないとうっすらどこかで見聞きしていた。 

3.「削らない治療」でネット検索した結果、「ドックベストセメント」の存在を知る。 

4.ドックベストセメントを扱っている歯科医院を探し、通院できる範囲で2院ピックアップ。 

5.ホームページの料金表をチェック。ドックベストセメントが安い歯科医院を受診。そしてドックベストセメントの治療を受けた。 

6.半年くらい様子見。しばしば不具合。痛みも出てきてしまった。 

7.不安になり転院を決意。金額が高いので当初選ばなかった当院へ。 

ちなみにドックベストセメントとは、虫歯でとろけてしまった歯を殺菌しつつミネラルを継ぎ足して再石灰化してくれる薬です。 

「虫歯」は通常、虫歯菌が出した酸により歯のミネラル成分が抜けてしまい、歯がぐにゃぐにゃと柔らかくなり、崩れてきます。 

虫歯で溶けてしまった部分は、通常の「虫歯治療」だと削り取ります。 

しかしドックベストセメントはミネラルが溶け出て柔らかくなったしまった通常削り取るべき部分を固めてくれるので、歯を削る量が格段に減ります。 

薬を使えば万事解決!ではない 

神田中央通りいけむら歯科 虫歯

池村が拝見した結果、今回の虫歯は歯肉の中。 

歯肉の中に異物を入れると、炎症が炎症を起こしてジュクジュクします。 

ドックベストセメントを入れてもそのジュクジュクした浸出液で、歯にしみこんで虫歯を再石灰化させる予定のミネラルは口の中に出て行ってしまいます。 

つまり再石灰化しません。 

この場合、ドックベストセメントを効奏させようとするなら、クラウンレングスオペというオペが必要でした。 

せっかく虫歯の穴に詰めたドックベストセメントは歯肉の中で浸出液に洗い流されて影も形もありません。 

あるのはただ、虫歯の穴のみ。 

虫歯を見つけた時期からどれなりに時間が経過していたので、池村が拝見した時には、歯の神経(歯髄)が残るかどうかという微妙な感じになっていました。 

ドックベストセメントは薬に接している虫歯の一番外側から殺菌・再石灰化していくのです。 

あまりに神経(歯髄)に近いギリギリな虫歯だと、薬を塗った部分は殺菌・再石灰化しても、神経(歯髄)に近い部分の虫歯菌の殺菌が間に合わずに神経(歯髄)に侵入してしまい痛みが出て(歯髄炎)、結局神経を取る(抜髄)ことになりがちです。 

この虫歯はまさに、「間に合うかなー。今からクラウンレングスオペして、ドックベストセメント入れて、神経残ればいいなー。時間との勝負だな。」 

というレベルの虫歯になっていました。 

最初から当院にいらしてくれていたら、もっと勝算高かったと思います。 

まあ、詳細がわからなければ同じ「ドックベストセメント」だから安い方に行ってしまうのもわからなくもないです。 

ドックベストセメントを入れてそれで終わりではない 

ドッグベストセメントの注意点

しかしですね。 

今回のこの患者さん。この方が欲しかったのはドックベストセメントだったでしょうか? 

それとも「虫歯を極力削らずに自分の歯や歯の神経を残すこと」だったでしょうか? 

ドックベストセメントに限らず、こんな話はたくさんあります。 

インプラントというチタンのネジが欲しかったの?それとも毎日ストレスなくおいしくお食事ができる自分になりたかったの? 

歯の形をしたセラミックの塊が欲しかったの?それともイオンが溶け出ない歯のケアも簡単な快適な生活が欲しかった? 

歯医者さんの多くは、患者さんのお口の中に「納品」して終わりだと思っています。 

しかし、患者さんの人生は、ドックベストやインプラントやセラミックを「納品」されて終わりではありません。 

その後、何年何十年も生きていくのです。 

「納品」した後、その人工物は口腔という生体内でどう変化していくのでしょうか? 

いつまで快適に使えるのでしょうか? 

時間が経過しても生体内で調和するように、治療が終わっても見守っていかないといいけません。

ドックベストセメントは塗れば虫歯が固まる薬ではない 

ドックベストセメント

今回のケースはドックベストセメントを塗るだけでは無理な症例でした。 

歯肉の中の虫歯にはクラウンレングスオペが必要です。 

また、かみしめで歯にダメージを与えている場合は虫歯が固まってセラミックを詰めた後にもトラブルが続発することもあります。 

治療が一旦終了したからと言って、その歯が永遠に安泰なわけではないのです。 

今回のケースは2~3年経過していますが、いつ歯の神経が死んでしまうか心配してメンテナンスの都度その歯をチェックしています。 

つまり、やりっぱなしではダメ。経過を追うことが必要になります。 

そもそも、虫歯の原因は? 

神田中央通りいけむら歯科 虫歯

そもそもドックベストセメントが必要になってしまうのは、その歯に虫歯が発生してしまったからですよね? 

虫歯、削って詰めて終了! 

このような意識の方が患者さんのみならず歯科医院側にも多く見受けられますが、忘れないで下さい。 

歯は内臓です。 

歯は、「口腔」という消化管の第一の内臓の一部です。 

普通に考えて、内臓に穴があく虫歯という病気はかなり大変なことなんですよ。 

治療も誠実に行う必要がありますし、なぜその内臓に穴があいてしまったのか検査して原因を生活の中から排除していかないといけません。 

虫歯の原因の多くは複合的です。 

虫歯を発生させてしまう条件や環境。いくつかあるこれら原因を検査で確認します。 

そして一番大きな原因を生活の中からまず排除します。 

それができたら、あなたの虫歯のリスクはグッと下がるでしょう。 

そして、更に、次に大きな虫歯の原因をまた生活の中から排除します。 

これを繰り返すことで、今現在あなたの歯が虫歯であったとしても削らずに数年同じ状態でいられるのです。 

たとえ他院様で「この歯、虫歯だから治療が必要です」と診断されていたとしても。 

なので、当院は、虫歯があるからと言っていきなり削って型取り…次回歯の詰め物セットね! 

なんてことはまずしません。 

虫歯の原因を除去することが第一の治療ですから

同じ薬でも、治療法でも歯科医師の認識により全く別のものになる 

神田中央通りいけむら歯科 治療

話が少し横にそれましたが 

同じ「ドックベストセメント」 

同じ「インプラント」 

同じ「セラミック」 

同じ「マウスピース矯正」 

同じ「歯科医院」 

カテゴリーは一緒かもしれませんが、内容は全く違う可能性もあります。 

今回においては、ドックベストセメントの扱いが他院様と当院では違いました。 

薬を塗るだけで結果が出ないか。 

歯を残すために何が必要かを考え、そのうえでドックベストセメント、そのほかの治療が必要なら併せて結果を出すか。 

インプラントも、安く広告を出しているクリニックは何を差し引いてその金額を提示しているでしょうね? 

セラミックなら、もちろん歯はきれいになるでしょうが、その歯は本当にセラミックが必要だったでしょうか?ケアをしておけば削ってセラミックセットしなくてもよかったかも? 

マウスピース矯正も、歯科医師が見るのは最初だけで後はスタッフが行うか、最初から最後まで歯科医師が行うか。相場価格よりも安くするにはどこを差し引いているでしょうね? 

どちらも同じ「歯科医院」の看板を掲げていても、院長先生はあなたの歯を守ろうとしてくれる先生でしょうか?歯を削らないための知識は充分持っている? 

歯科においての安物買いの銭失い 

神田中央通りいけむら歯科 診断

安価に治療されて再発の嵐になるのも、治療に至らないための予防にお金を出すのも

保険外診療であっても相場より安いところを探し出して結果が伴うか伴わないかを自分の身体で実験するのも、さっさと良い治療を受けて、もう治療が必要ではない口腔内環境になっていくのも。 

すべてあなたが自由に選択できます。 

自由に選択し、結果はあなたが引き受けるのです。 

今この場の「納品」で満足なのか 

治療した歯が今後あなたの口の中でどう変化していくのかを共に見守りケアをし続ける専門家のパートナーも必要なのか。 

両隣からチュインチュイン歯を削る音(なんならたまに痛みに耐えるうめき声)がしている中で、スタッフにお顔にタオルをかけられて、何かされているうちに先生らしき人がドカドカ来て「ココ虫歯だから削るねー!」チュインチュイン!『ココってドコ!?』と思っている間に先生らしき人はいなくなり、続きはまたスタッフがやってくれる。先生のお顔見ていない…会話どころか挨拶も出来なかった…。 

というクリニックで自分の歯を見てもらうのか。 

それとも、自分の歯について先生に時間をがっちり取ってもらって今までの悩みや経過を伝えて、それを聞いた先生に複数の治療法を提案されて、またどうするかゆっくり考える時間がある方が良いのか。 

ご自身がどうしたら満足できるのか、確認してみて下さいね。 

ちなみに、他院様で「この虫歯、次回削って治療するから!」」と言われて「本当に削らないとダメなの?」と当院に駆け込んで来る方、結構多いんですよ。 

だいたい8割の歯は当院では削る必要がないと診断します。 

具体的にはC1やC2と呼ばれるレベルの虫歯ですね。 

虫歯を進ませない方法で、歯を守っていくので、慌ててドリルを入れません。 

当院は開院して10年経ちましたが、最初のころからいらしてくださっている方もいます。 

そんな方のあやしい虫歯、それこそ10年変化なしの場合もあります。 

原因を除去しないですぐ削っていたら10年の間に1~2回は再治療してたと思いますよ。 

そんな話を本にまとめました。 

歯の治療を繰り返して『全然良くなってない・・・』と思った方はぜひ読んでみて下さい。

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